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玉津島和歌の松原夢にだに
まだ見ぬ月に千鳥鳴くなり

歌の意味
玉津島の和歌の松原では、夢の中でさえまだ見たことのない月の夜に、千鳥が鳴いているようだ。
鑑賞
雑歌 630

詞書「月前千鳥」
 夢にさえまだ見たことのない遠い玉津島の和歌の松原で、月の夜に千鳥が鳴いているだろうと思いやった歌である。鎌倉にいて都や紀伊の名所を訪れることのなかった実朝が、歌枕への憧れを詠んでいる。
 賀茂真淵は四句、三句は後の時代の言い方であると評している。

 初句「玉津島」は、紀伊国の和歌の浦の玉津島で、前歌の結句の地名を受けている。
 二句「和歌の松原」は、前歌の二句と同じ句である。
 三句「夢にだに」は、夢にさえの意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを推量させる。
 四句「まだ見ぬ月に」は、まだ見たことのない月にの意である。現に見たことがないばかりか夢にも見ないという、遠い地への思いを表す。
 結句「千鳥なくなり」は、千鳥が鳴いているようだの意で、「なり」は音による推定である。

ちどり:水辺にすむ小鳥、冬の歌に多く詠まれる
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
雪積もる和歌の松原ふりにけり 幾世経ぬらむ玉津島守
次の歌
眺むれば吹く風涼し三輪の山 杉の梢を出づる月影