わたつ海の中に向かひていづる湯の
いづのお山とうべも言ひけり
- 歌の意味
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大海の中に向かって湧き出る湯があるので、伊豆のお山とはなるほどうまく言ったものだ。
- 鑑賞
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雑歌 638
詞書「走湯山参詣の時」
走湯山すなわち伊豆山権現に参詣したときの歌である。海に向かって勢いよく湯が湧き出るのを見て、「出づ」湯の山であるから「いづ」のお山と呼ぶのはもっともだと、地名の由来に感じ入っている。賀茂真淵はこの歌に評価の印を付けている。
類従本では詞書を「走湯山に参詣の時歌」とする。定家所伝本では初句の表記を異にする。底本と類従本は結句の「うべ」を「べ」とするが、賀茂真淵の訂正に従って「うべ」とする。真淵は「わたつみ」は海の神の名で、ただ海のことにもいうと注している。
初句「渡津海の」は、海のの意である。
二句「中に向ひて」は、海の中に向かっての意である。
三句「いづる湯の」は、湧き出る湯のの意で、ここまでが四句の「いづ」を導く。
四句「いづのお山と」は、伊豆の山との意で、「いづ」に湯が「出づ」と地名の「伊豆」を掛ける。
結句「うべもいひけり」は、なるほどもっともに言ったものだの意である。次歌の第六百三十九首も「うべ」の語を用いて走湯の名を説き、二首が対をなしている。
わたつみ:海、また海の神
いづ:湯が出る意と、地名の伊豆を掛ける
うべ:なるほど、もっともなことに
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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冬ごもり那智の嵐の寒ければ 苔の衣の薄くやあるらむ
- 次の歌
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走湯の神とはうべも言ひけらし 速き験のあればなりけり