炎のみ虚空に満てる阿鼻地獄
行方もなしと言ふもはかなし
- 歌の意味
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炎ばかりが空いっぱいに満ちている阿鼻地獄は、逃れる行方もないというが、それを思うのもむなしいことだ。
- 鑑賞
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雑歌 649
詞書「思罪業歌」
罪業を思うという題で詠んだ歌である。炎だけが空いっぱいに満ちる阿鼻地獄には、逃れる行方もないと説かれるが、そう聞くにつけても我が身の罪業が思われ、はかなくむなしいと詠んでいる。
初句は貞享本、類従本、定家所伝本のいずれも「ほのほのみ」とするが、賀茂真淵は「ほのぼのと」と改めている。ここでは底本の諸本どおり「ほのほのみ」と読む。なお底本の表示は二句を「虚言」とするが、「虚空」と読む。
初句「ほのほのみ」は、炎ばかりがの意である。
二句「虚空にみてる」は、空いっぱいに満ちているの意である。
三句「阿鼻地獄」は、八大地獄の中で最も苦しみの重い無間地獄のことで、体言止めの形で句が切れる。
四句「行方もなしと」は、逃れる先もないとの意である。前歌の懺悔の歌を受け、懺悔しなければ堕ちる地獄の恐ろしさを詠んでいる。
結句「いふもはかなし」は、そう言うのもむなしいの意である。
あびぢごく:最も苦しみの重い地獄、無間地獄
こくう:何もない空間、空
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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塔を組み堂を造るも人嘆き 懺悔にまさる功徳やはある
- 次の歌
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世の中は鏡に映る影にあれや あるにもあらず無きにもあらず