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くらゐ山小高くならむ松にのみ
八百万代と春風ぞ吹く

歌の意味
位山の、これからいっそう高くなるであろう松にばかり、八百万代まで栄えよと春風が吹いている。
鑑賞
雑歌 659

詞書は前の歌に続き「寄松祝といふ事を」
 位山の、これからますます高く伸びてゆくであろう松に、八百万代まで栄えよと春風が吹いていると詠んだ歌である。地名の位山に官位の「位」を響かせ、位がますます高くなることを松に託してことほいでいる。
 類従本では賀の部に収められている。

 初句「くらゐ山」は、飛騨国の位山で、「くらゐ」に地名と官位の「位」を掛ける。
 二句「小高くならむ」は、高くなるであろうの意で、「む」は推量である。位が高くなることを重ねている。
 三句「松にのみ」は、松にばかりの意である。
 四句「八百萬代と」は、八百万代までもとの意で、本巻の第六百十八首、第六百四十一首の四句と通じる。
 結句「春風ぞ吹く」は、春風が吹いているの意で、「ぞ」は係助詞で「吹く」と連体形で結ぶ。前歌の「松風ぞ吹く」と対をなし、二首の結句が呼応している。

くらゐやま:飛騨国の位山の意と、官位の位を掛ける
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
行く末の千年をこめて春霞 たつたの山に松風ぞ吹く
次の歌
岩の上に生ふる小松の年も経ぬ 幾千代までと契りおきけむ