大君の勅を畏みちちわくに
心は分くとも人に言はめやも
- 歌の意味
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大君のお言葉を謹んで承り、心は千々に乱れて思い悩もうとも、そのことを人に言うことなどあろうか。
- 鑑賞
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雑歌 676
詞書「太上天皇御書下し預かりし時の歌」
太上天皇すなわち後鳥羽上皇から御書を賜ったときに詠んだ歌である。上皇のお言葉を謹んで承り、たとえ心が千々に分かれて思い悩むことがあっても、それを人に漏らすことなどあろうかと、上皇への忠誠と慎みを詠んでいる。実朝の朝廷への忠誠を示す歌として、次の二首とともに名高い。
類従本では、この歌と次の二首を述懐の部に収める。貞享本は三句を「ちちわくに」とし、「わく」の右に「はは」と注する。定家所伝本も「ちちわくに」とする。底本の表示では「父母の」とも見えるが、ここでは貞享本、定家所伝本に従って「ちちわくに」と読む。
初句「おほ君の」は、大君のの意で、ここでは後鳥羽上皇をさす。次の三首とともに、主君への忠誠を詠む一連の初めである。
二句「ちよくをかしこみ」は、お言葉を恐れ謹んでの意で、「み」は原因、理由を表す。
三句「ちちわくに」は、千々に分かれての意である。
四句「心はわくとも」は、心は分かれて乱れようともの意で、三句の「わく」を重ねている。
結句「人にいはめやも」は、人に言うことなどあろうかの意で、「やも」は反語である。
ちよく:天皇や上皇のお言葉、勅
かしこむ:恐れ謹む
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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今造る黒木の諸屋古りずして 君は通はむ万代までに
- 次の歌
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山は裂け海は浅せなむ世なりとも 君に二心われあらめやも