道遠し腰は二重にかがまれり
杖にすがりてここまでも来る
- 歌の意味
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道は遠い。腰は二重に曲がってしまった。それでも杖にすがって、ここまでもやって来る。
- 鑑賞
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雑歌 682
詞書は前の歌に続き「相州の土屋といふ所に年九十に余れる朽ち法師あり、おのづから来たり、昔語りなどせしついでに、身の立ち居に堪へずなむなりぬる事を泣く泣く申して出でぬ。時に老といふ事を人々に仰せて仕うまつらせしついでに詠み侍りし」
道は遠く、腰は二重に折れ曲がってしまったが、それでも杖にすがってここまでやって来たと詠んだ歌である。訪ねてきた老法師の姿をそのまま写したような写実的な一首で、老いの身の痛ましさと、それでも訪ねて来る心とを描いている。
定家所伝本では四句の表記を、類従本では結句の表記をそれぞれ異にする。
初句「道とほし」は、道は遠いの意で、初句切れである。
二句「腰はふたへに」は、腰は二重にの意で、腰が深く曲がったさまをいう。
三句「かがまれり」は、曲がってしまっているの意で、「り」は存続である。三句切れである。
四句「杖にすがりて」は、杖にすがっての意である。前の三首の心の中の昔語りから、老法師の目に見える姿へと移っている。
結句「ここまでもくる」は、ここまでもやって来るの意である。
かがまる:腰などが曲がる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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なかなかに老いは惚れても忘れなで などか昔をいと偲ぶらむ
- 次の歌
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さりともと思ふものから日を経ては 次第次第に弱る悲しさ