嘆きわび世を背くべき方知らず
吉野の奥も住み憂しと言へり
- 歌の意味
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嘆き疲れても、世を捨ててどこへ逃れたらよいのかわからない。吉野の奥も住みづらいと人はいっている。
- 鑑賞
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雑歌 685
詞書は前の歌に続き「雑の歌の中に」
世を嘆き悩んで出家しようにも、どこへ身を隠したらよいかわからない。世を逃れる地とされた吉野の奥でさえ、住みづらいと人がいうのだからと詠んだ歌である。世を捨てる場所さえない、逃れようのない憂いを詠んでいる。
古今集の「み吉野の山のあなたに宿もがな世のうき時の隠れ家にせむ」のように、吉野の奥は古くから世を逃れる地として詠まれてきた。
初句「歎きわび」は、嘆き疲れての意である。
二句「世をそむくべき」は、世を捨てるべきの意で、出家して俗世を離れることをいう。
三句「かた知らず」は、方向がわからないの意で、三句切れである。
四句「吉野の奧も」は、吉野の山奥もの意で、世を逃れる地として名高い。
結句「住みうしといへり」は、住みづらいと人がいっているの意である。次歌の第六百八十六首も、住むべき場所のない嘆きを詠んでいる。
そむく:世を捨てる、出家する
すみうし:住みづらい
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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世に経れば憂き言の葉の数ごとに 絶えず涙の露ぞ置きける
- 次の歌
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いづくにて世をば尽くさむ菅原や 伏見の里も荒れぬと言ふものを