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豊国の企救の浜松老いにけり
知らず幾世の年か経にけむ

歌の意味
豊国の企救の浜の松は老いたことだ。いったいどれほどの世の年を経てきたのだろうか、わからない。
鑑賞
雑歌 688

詞書「屏風の歌」
 屏風に描かれた豊前国の企救の浜の松を詠んだ歌である。浜の松はすっかり老い木になっているが、どれほどの年月を経てきたのかわからないと、松の長い齢に思いを馳せている。
 定家所伝本では二句を異にする。「豊国の企救の浜松」は万葉集に見える言葉である。

 初句「とよ国の」は、豊前と豊後を合わせた豊国のの意である。
 二句「きくの濱松」は、豊前国の企救の浜の松の意である。
 三句「おいにけり」は、老いたことだの意で、三句切れである。前歌の久しい松を受けている。
 四句「知らずいく世の」は、わからない、どれほどの世のの意で、「知らず」を挿入的に置いている。
 結句「年か經にけむ」は、年を経たのだろうかの意で、「か」は疑問の係助詞で「けむ」と連体形で結ぶ。本巻の第六百五十六首の「いく世の年か経ぬらむ」とほぼ同じ言い回しである。

とよくに:豊前と豊後を合わせた古い国名
きく:豊前国の地名、企救
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
春秋は変はりゆけどもわたつみの 中なる島の松ぞ久しき
次の歌
年経れば老い倒れて朽ちぬべき 身は住の江の松ならなくに