玉くしげ箱根の海は心あれや
二山にかけて何かたゆたふ
- 歌の意味
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箱根の湖には心があるのだろうか。二つの山にかけて、どうしてためらうように揺れ動いているのか。
- 鑑賞
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雑歌 694
詞書「又の年二所へ参りたりし時箱根の水海を見て詠み侍る歌」
翌年、二所詣をしたときに箱根の湖を見て詠んだ歌である。二つの山の間にたたえられた湖の水が揺れ動くさまを、まるで心があってどちらにつこうかとためらっているようだと詠んでいる。
古今集の東歌「甲斐が嶺をさやにも見しかけけれなく横ほり臥せるさやの中山」の東国の言葉「けけれ」を用いている。類従本では「玉くしげ箱根のみうみけけれあれや二国かけて中にたゆたふ」とする。
初句「玉くしげ」は、美しい櫛箱の意で、「箱」にかかる枕詞である。
二句「箱根の海は」は、箱根の湖、芦ノ湖はの意である。本巻の第五百九十一首の伊豆の海に対し、山上の湖を詠んでいる。
三句「けけれあれや」は、心があるのだろうかの意で、「けけれ」は「心」の東国方言である。三句切れである。
四句「二山にかけて」は、二つの山にまたがっての意で、六音の字余りである。
結句「何かたゆたふ」は、どうしてためらうのかの意で、「か」は疑問の係助詞で「たゆたふ」と連体形で結ぶ。
たまくしげ:箱にかかる枕詞
けけれ:心、東国の方言
たゆたふ:揺れ動く、ためらう
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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大海の磯もとどろに寄する波 破れて砕けて裂けて散るかも
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陸奥にここにやいづくしほがまの 浦とはなしに煙立つ見ゆ