陸奥にここにやいづくしほがまの
浦とはなしに煙立つ見ゆ
- 歌の意味
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ここは陸奥のどこにあたるのだろうか。塩竈の浦というわけでもないのに、塩を焼く煙のように煙が立つのが見える。
- 鑑賞
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雑歌 695
詞書「民のかまどより煙の立つを見て詠める」
民の家のかまどから煙が立ちのぼるのを見て詠んだ歌である。塩を焼く煙で名高い陸奥の塩竈の浦でもないのに煙が立っているので、ここは陸奥のどこかと思うほどだと詠み、民の暮らしの豊かさを喜んでいる。仁徳天皇が民のかまどの煙を見て国の豊かさを知ったという故事をふまえ、為政者としての実朝の心がうかがえる。
類従本では二句を「爰やいづく」とし、「に」を欠く。
初句「みちのくに」は、陸奥国にの意である。本巻の第五百七十首が本歌とした古今集の東歌「陸奥はいづくはあれど塩竈の浦漕ぐ舟の綱手かなしも」の言葉を用いている。
二句「ここにやいづく」は、ここはどこにあたるのかの意で、「や」は疑問である。
三句「しほがまの」は、陸奥国の塩竈のの意で、「しほがま」に地名の塩竈と、塩を焼く釜を掛ける。
四句「浦とはなしに」は、浦というわけでもないのにの意である。
結句「けぶり立つ見ゆ」は、煙が立つのが見えるの意で、民のかまどの煙をいう。
しほがま:陸奥国の地名の塩竈の意と、塩を焼く釜の意を掛ける
かまど:煮炊きをする設備、民の暮らし
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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玉くしげ箱根の海は心あれや 二山にかけて何かたゆたふ
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いつもかく寂しきものか葦の屋に 焚きすさびたる海人の藻塩火