いにしへを偲ぶとなしに石上
ふりにし里に我は来にけり
- 歌の意味
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昔を偲ぼうというわけでもないのに、石上の古びた里に、私はやって来たことだ。
- 鑑賞
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雑歌 700
詞書「故郷の心を」
古い里を題として詠んだ歌である。昔を偲ぼうと思って来たわけでもないのに、気がつけば石上の布留の古びた里に来ていたと詠み、古里の寂しさにおのずと昔が偲ばれる心を描いている。
貞享本では二句を異にし、類従本によって「忍ぶとなしに」とする。なお底本の表示は三句の一字が判読しにくく、ここでは「いそのかみ」と読む。
初句「いにしへを」は、昔をの意である。
二句「忍ぶとなしに」は、偲ぼうというわけでもなくの意である。
三句「いそのかみ」は「古る」にかかる枕詞で、大和国の石上の地名でもある。本巻の第六百四十三首の初句と同じく、石上の古い都を詠んでいる。
四句「ふりにし里に」は、古びた里にの意で、「ふり」に「古り」と石上の地名の「布留」を掛ける。
結句「われは來にけり」は、私は来たことだの意で、「けり」は気づきの詠嘆である。
いそのかみ:古るにかかる枕詞、大和国の地名
ふる:古くなる意と、地名の布留を掛ける
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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徒歩人の渡れば揺るぐ葛飾の 真間の継橋朽ちやしぬらむ
- 次の歌
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あはれなり雲居のよそに行く雁も かかる姿になりぬと思へば