古典和歌stream

いにしへの朽木の桜春ごとに
あはれ昔と思ふかひなし

歌の意味
昔からの朽ち木の桜を、春が来るたびに、ああ昔はと思っても、そのかいもない。
鑑賞
雑歌 706

詞書は前の歌に続き、底本の表示から判読できない
 古く朽ちかけた桜の木を見て、春が来るたびにああ昔はと懐かしく思っても、昔が戻るわけではなく、そのかいもないと詠んだ歌である。前歌の咲いては散る桜から、老いた桜の木へと移り、過ぎた時への思いを詠んでいる。

 初句「いにしへの」は、昔からのの意である。
 二句「朽木の櫻」は、朽ちかけた桜の木の意である。前歌の「櫻花」を受けている。
 三句「春ごとに」は、春が来るたびにの意である。
 四句「あはれむかしと」は、ああ昔はとの意で、前の二首の結句の「あはれ」を受けている。
 結句「思ふかひなし」は、思うかいもないの意である。

くちき:朽ちかけた木
かひ:効果、思う甲斐
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
空蝉の世は夢なれや桜花 咲きては散りぬあはれいつまで
次の歌
難波潟うきふししげき葦の葉に 置きたる露のあはれ世の中