- 歌の意味
- このようにしてばかりあって、はかないこの世の中を、つらいと言おうか、それともあわれと言おうか。
- 鑑賞
-
雑歌 708
詞書「無常を」
無常を題として詠んだ歌である。こうしてただ生きているだけの、はかない世の中を、つらいと言おうか、あわれと言おうかと、言い表しようのない無常の思いを詠んでいる。
初句「かくてのみ」は、このようにしてばかりの意である。
二句「ありてはかなき」は、生きていてはかないの意である。
三句「世の中を」は、この世をの意である。前歌の結句「世の中」を受けている。
四句「うしとやいはむ」は、つらいと言おうかの意で、「や」は疑問の係助詞で「む」と連体形で結ぶ。
結句「あはれとやいはむ」は、あわれと言おうかの意で、四句と対句をなしている。「あはれ」は前の歌々の嘆きを受けている。
うし:つらい、憂い
- 作者
- 源実朝
- 出典
- 金槐和歌集
- 前の歌
- 難波潟うきふししげき葦の葉に 置きたる露のあはれ世の中
- 次の歌
- うつつとも夢とも知らぬ世にしあれば 有りとて有りと頼むべき身か