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うつつとも夢とも知らぬ世にしあれば
有りとて有りと頼むべき身か

歌の意味
現実とも夢ともわからない世の中であるから、今生きているからといって、生きていると頼みにできる身であろうか。
鑑賞
雑歌 709

詞書は前の歌に続き「無常を」
 現実なのか夢なのかもわからないこの世であるから、今生きているからといって、この命をあてにできるだろうかと詠んだ歌である。生きていることさえ確かではないという、無常の思いを深めている。

 初句「うつつとも」は、現実ともの意である。
 二句「夢とも知らぬ」は、夢ともわからないの意で、本巻の第七百五首の「世は夢なれや」を受けている。
 三句「世にしあれば」は、世であるからの意で、「し」は強意である。六音の字余りである。
 四句「有りとてありと」は、生きているからといって生きているとの意で、「有り」を重ねている。
 結句「賴むべき身か」は、頼みにできる身であろうかの意で、「か」は反語である。

うつつ:現実、目覚めている状態
たのむ:頼りにする、あてにする
作者
源実朝
出典
金槐和歌集
前の歌
かくてのみありてはかなき世の中を 憂しとや言はむあはれとや言はむ
次の歌
とにかくにあればありける世にしあれば 無しとても無き世をも経るかも