とにかくにあればありける世にしあれば
無しとても無き世をも経るかも
- 歌の意味
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とにもかくにも、あればあるで過ぎてゆく世の中であるから、何もないからといって、ないままにこの世を過ごしてゆくことだ。
- 鑑賞
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雑歌 710
詞書「わび人の世に立ちめぐるを見て」
落ちぶれて貧しい人が、それでも世の中を立ちめぐって暮らしているのを見て詠んだ歌である。世の中は、あればあるで過ぎてゆくものだから、何も持たない人も、持たないままにこの世を過ごしてゆくのだと、わび人の生き方に無常の世を生きる姿を見いだしている。
類従本では詞書の末尾を「見てよめる」とし、二句を「有りける」とする。なお底本の表示は二句に判読しにくい箇所があり、ここでは「あればありける」と読む。
初句「とにかくに」は、とにもかくにもの意である。次歌の第七百十一首と同じ初句である。
二句「あればありける」は、あればあるで過ぎてゆくの意で、「あり」を重ねている。
三句「世にしあれば」は、世であるからの意で、前歌の三句と同じ句である。
四句「なしとてもなき」は、ないからといってないままのの意で、二句の「あれば」「ありける」と対をなしている。
結句「世をもふるかも」は、世を過ごしてゆくことよの意で、「かも」は詠嘆である。
わびびと:落ちぶれて貧しく暮らす人
ふ:年月を過ごす、この世に生きる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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うつつとも夢とも知らぬ世にしあれば 有りとて有りと頼むべき身か
- 次の歌
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とにかくにあな定めなの世の中や 喜ぶ者あればわぶる者あり