世の中に賢きこともはかなきも
思ひし解けば夢にぞありける
- 歌の意味
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世の中の、すぐれたことも、つまらないことも、よく考えてみれば、みな夢であったのだ。
- 鑑賞
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雑歌 712
詞書「世間常ならずといふことを人のもとに詠みて遣はし侍りし」
世の中は常ならずということを題に、ある人のもとへ詠んで贈った歌である。世の中のすぐれたこともつまらないことも、よく考えてみればすべて夢のようなものであったと詠み、無常の悟りを示している。
類従本、定家所伝本では三句を「はかなきも」とする。底本の表示には三句に「わりなき」とも見え、ここでは「はかなきも」と読む。賀茂真淵は「思ひしとけば」は後の時代の言い方であると評している。
初句「世の中に」は、この世の中にの意である。
二句「かしこきことも」は、すぐれたこともの意である。
三句「はかなきも」は、つまらないこともの意で、二句と対をなしている。
四句「思ひしとけば」は、よく考えて解きほぐしてみればの意で、「し」は強意である。
結句「夢にぞありける」は、夢であったのだの意で、「ぞ」は係助詞で「ける」と連体形で結ぶ。本巻の第七百五首の「世は夢なれや」の問いに、夢であったと答えるように結んでいる。
かしこし:すぐれている、立派である
とく:物事を解きほぐして考える
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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とにかくにあな定めなの世の中や 喜ぶ者あればわぶる者あり
- 次の歌
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聞きてしも驚くべきにあらねども はかなき夢の世にこそありけれ