いとほしや見るに涙もとどまらず
親もなき子の母を尋ぬる
- 歌の意味
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かわいそうなことだ。見ていると涙も止まらない。親もいない子が母を探し求めているのは。
- 鑑賞
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雑歌 714
詞書「道のほとりに幼き童の母を尋ねていたく泣くを、そのあたりの人に尋ねしかば、父母なむ身まかりにしと答へ侍りしを聞きて」
道ばたで幼い子が母を探してひどく泣いているので、近くの人に尋ねたところ、父母はもう亡くなったと答えたのを聞いて詠んだ歌である。親のない子が母を探し求めるさまを見て、涙が止まらないと、その不憫さを率直に詠んでいる。実朝の慈しみの心がよく表れた一首として名高い。賀茂真淵はこの歌に評価の印を付けている。
類従本では詞書の末尾を「よめる」とする。
初句「いとほしや」は、かわいそうなことだの意で、初句切れである。
二句「見るに淚も」は、見ていると涙もの意である。
三句「とどまらず」は、止まらないの意で、三句切れである。
四句「親もなき子の」は、親もいない子のの意である。前歌の人の死を受け、残された子の悲しみを詠んでいる。
結句「母を尋ぬる」は、母を探し求めるの意で、連体形で止めて余情を残している。倒置によって初句の「いとほし」の理由を後に示している。
いとほし:かわいそうだ、気の毒だ
みまかる:亡くなる
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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聞きてしも驚くべきにあらねども はかなき夢の世にこそありけれ
- 次の歌
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物言はぬ四方の獣すらだにも あはれなるかなや親の子を思ふ