物言はぬ四方の獣すらだにも
あはれなるかなや親の子を思ふ
- 歌の意味
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ものを言わない四方の獣でさえも、心を打たれることよ、親が子を思うさまは。
- 鑑賞
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雑歌 715
詞書「慈悲の心を」
慈悲の心を題として詠んだ歌である。ものを言わない獣でさえも、親が子を思う心はあわれで胸を打つと詠み、生きとし生けるものに通う親子の情をたたえている。前歌の親のない子の悲しみを受け、親が子を思う心の尊さを詠んでいる。
類従本、定家所伝本では四句を「あはれなるかな」とする。賀茂真淵は三句について、「すら」か「だに」か、どちらか一つを言うべきであると評している。
初句「物いはぬ」は、ものを言わないの意である。
二句「四方のけだもの」は、あらゆる所の獣の意である。
三句「すらだにも」は、さえもの意で、「すら」と「だに」を重ねて強めている。
四句「あはれなるかなや」は、心を打たれることよの意で、八音の字余りである。四句切れである。
結句「親の子をおもふ」は、親が子を思うことはの意で、倒置となっている。前歌の「親もなき子の母を尋ぬる」と対をなし、子が親を求める心と、親が子を思う心とが反転した構図になっている。
けだもの:獣
- 作者
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源実朝
- 出典
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金槐和歌集
- 前の歌
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いとほしや見るに涙もとどまらず 親もなき子の母を尋ぬる
- 次の歌
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時により過ぐれば民の嘆きなり 八大竜王雨やめたまへ