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あらたまの年のはじめに降りしけば
初雪とこそいふべかりけれ

歌の意味
新しい年のはじめにこうして降り敷いたのだから、これこそ初雪と言うべきであったよ。
鑑賞
巻第一 春歌 7

 年の初め、春の訪れとともに降り積もった雪を、新年最初の雪であるから「初雪」と呼ぶべきだと興じた歌である。冬の初雪ではなく、年の初めの雪をこそ初雪と呼ぼうという機知がある。
 次歌の第八首は藤原公実がこの歌に返したもので、顕季が雪を初雪と呼んだのに対し、梢の雪を初花と呼ぼうと応じている。
 作者の「顕季」は、藤原隆経の子で修理大夫に至った藤原顕季である。母が白河天皇の乳母であったことから院の近臣として重んじられた。和歌の家である六条藤家の祖である。

 初句「あらたまの」は「年」にかかる枕詞である。
 二句「年のはじめに」は新年の初めで、立春と重なる時期を指す。
 三句「降りしけば」は降り敷いたのでの意で、「しく」は一面に敷く意の動詞である。
 四句「初雪とこそ」の「こそ」は係助詞で、結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。冬の初雪を、年の初めの雪の意に取りなした機知が眼目である。
 結句「いふべかりけれ」は言うべきであったの意で、今気づいた詠嘆を表す。次歌の第八首の結句「いふべかるらむ」と対応し、贈答の形を整えている。

ふりしく:雪などが一面に降り積もる
あらたま:「年」にかかる枕詞
作者
藤原顕季
出典
金葉和歌集
前の歌
いつしかと春のしるしに立つものは あしたの原の霞なりけり
次の歌
朝戸あけて春のこずゑの雪見れば 初花ともやいふべかるらむ