鶯の木づたふさまもゆかしきに
いまひと声は明けはててなけ
- 歌の意味
-
鶯が枝から枝へと移ってゆく姿も見たいので、もうひと声は夜がすっかり明けてから鳴いてくれ。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌 15
まだ暗いうちに鶯の声を聞いた人が、姿も見たいので次のひと声は夜が明けてからにしてくれと鶯に頼む歌である。声を賞する通常の鶯の歌から一歩進んで、姿を見たいという願いを詠んだ点に新しさがある。
初句「鶯の」と主語を示し、第十二首から続く鶯の歌の一連を継いでいる。
二句「木づたふさまも」の「木づたふ」は木の枝から枝へと伝い移る意で、声だけでなく姿も見たいという願いが込められている。
三句「ゆかしきに」の「ゆかしき」は見たい、知りたいの意の形容詞で、「に」は順接の理由を表す。
四句「いまひと声は」はもうひと声で、暁に一度鳴いた声を聞いたことが前提となっている。
結句「明けはててなけ」は夜がすっかり明けてから鳴けという命令形で、鶯に呼びかける形で結んでいる。
こづたふ:木の枝から枝へと伝い移る
あけはつ:夜がすっかり明ける
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
今日やさは雪うちとけて鶯の 都へ出づる初音なるらむ
- 次の歌
-
春雨は降りしむれども鶯の 声はしをれぬものにぞありける