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梅が枝に風や吹くらむ春の夜は
折らぬ袖さへにほひぬるかな

歌の意味
梅の枝に風が吹いているのだろうか。春の夜は、梅を折りもしない袖までも香っていることだ。
鑑賞
巻第一 春歌 18

 梅の枝を手折ったわけでもないのに袖に香りが移っているのは、風が梅の香を運んでいるからだろうと推量した歌である。暗くて見えない春の夜の梅を、香りによってとらえている。

 初句「梅が枝に」は梅の枝にの意で、前歌の第十七首に続いて梅を詠む。
 二句「風や吹くらむ」は風が吹いているのだろうかの意で、ここで句切れとなる二句切れである。
 三句「春の夜は」と時を示し、闇の中で香りだけが届く情景を設定している。
 四句「折らぬ袖さへ」の「さへ」は添加の副助詞で、折った袖はもちろん、折らない袖までもの意となる。
 結句「にほひぬるかな」は香りが移ったことへの詠嘆で、「かな」は詠嘆の終助詞である。

うめがえ:梅の枝
出典
金葉和歌集
前の歌
梅の花にほふあたりはよきてこそ 急ぐ道をば行くべかりけれ
次の歌
今日ここに見に来ざりせば梅の花 ひとりや春の風に散らまし