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風吹けば柳の糸のかたよりに
なびくにつけて過ぐる春かな

歌の意味
風が吹くと柳の糸のような枝が一方に片寄ってなびき、それにつけても過ぎてゆく春であることよ。
鑑賞
巻第一 春歌 23

 風に一方へなびく柳の枝を見て、春が過ぎてゆくことを感じ取った歌である。柳のなびく方向と時の流れゆく方向とを重ね合わせ、のどかな景の中に移ろいの感慨を込めている。
 作者の「白河院」は第七十二代の白河天皇である。後三条天皇の第一皇子で、譲位の後も上皇として院政を行い、源俊頼に本集の撰進を命じた。

 初句「風吹けば」は風が吹くとの意で、恒常的な条件を表す。
 二句「柳の糸の」は細長く垂れる柳の枝を糸に見立てた表現である。本首と次歌の第二十四首は柳の歌で対をなす。
 三句「かたよりに」は一方に片寄る意と、糸を片方に縒る意とを掛けた掛詞で、「縒る」は糸の縁語である。次歌も「かたよりしげき」と同じ語を用いている。
 四句「なびくにつけて」は柳がなびくのにつけての意で、目の前の景から時の流れへと思いを移す転換点となっている。
 結句「過ぐる春かな」は過ぎてゆく春であることよの意で、体言に詠嘆の「かな」を添えて結ぶ。

かたより:一方に片寄る意と、糸を片方に縒る意を掛ける
作者
白河院
出典
金葉和歌集
前の歌
春日野の子の日の松は引かでこそ 神さびゆかむ影に隠れめ
次の歌
朝まだき吹きくる風にまかすれば かたよりしけり青柳の糸