古典和歌stream

よろづよのためしと見ゆる花の色を
うつしとどめよ白河の水

歌の意味
万代まで続く繁栄の手本と見える花の色を、映しとどめておくれ、白河の水よ。
鑑賞
巻第一 春歌 33

 白河の水面に映る花の色を、万代に続く繁栄の証として永久に映しとどめよと白河の水に呼びかけた歌である。花の美しさを讃えるとともに、白河の御所に象徴される治世の長久を祝っている。
 作者の「上西門院兵衛」は源顕仲の娘、兵衛である。待賢門院堀河の妹で、待賢門院、のちに上西門院に仕えた女房歌人である。

 初句「よろづよの」の「よろづよ」は限りなく長い年月で、祝賀の歌に多く用いられる語である。
 二句「ためしと見ゆる」の「ためし」は手本、先例の意で、長寿や繁栄の手本となるものをいう。
 三句「花の色を」と、とどめる対象を示す。
 四句「うつしとどめよ」は水面に映す意で、移ろいやすい花の色を永久にとどめよと命じている。
 結句「白河の水」と呼びかけて結ぶ。本巻の第三十一首の「白河の流れ」と呼応し、白河の地を讃える歌が重ねられている。

よろづよ:限りなく長い年月
ためし:手本、先例
作者
上西門院兵衛
出典
金葉和歌集
前の歌
吹く風も花のあたりは心せよ 今日をばつねの春とやは見る
次の歌
年ごとに咲きそふ宿の桜花 なほ行く末の春ぞゆかしき