- 歌の意味
- 遠くの高い峰に白雲だと見えていたのは、人の心を惑わせる桜であったよ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 36
遠くの山の峰にかかる白雲と見えたものが、実は桜であったと気づいた歌である。桜を白雲に見立てる伝統的な趣向で、本巻の第四十首、第四十二首、第五十二首にも同じ見立てが繰り返されている。
作者の「公実」は、藤原実季の子で権大納言に至った藤原公実である。春宮大夫を兼ねた。堀河天皇の時代の歌壇で活躍した歌人である。
初句「白雲と」は白雲だとの意で、桜を白雲に見立てる趣向の起点となる。
二句「遠の高嶺に」は遠くの高い峰である。
三句「見えつるは」は見えていたのはの意で、完了の助動詞「つ」の連体形を用いる。
四句「心まどはす」は人の心を惑わせるの意で、雲と見誤らせることと、美しさで心を奪うこととを重ねている。
結句「桜なりけり」の「けり」は気づきの詠嘆である。
をち:遠く離れた所
たかね:高い峰
- 作者
- 藤原公実
- 出典
- 金葉和歌集
- 前の歌
- 春霞たちかへるべき空ぞなき 花のにほひに心とまりて
- 次の歌
- 春ごとに松の緑に埋もれて 風に知られぬ花桜かな