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春ごとに松の緑に埋もれて
風に知られぬ花桜かな

歌の意味
春が来るたびに、松の緑の中に埋もれて、風にも気づかれずにいる桜の花であることよ。
鑑賞
巻第一 春歌 37

 常緑の松の木立の中に埋もれるように咲く桜は、風に見つけられないので散らされることがないと詠んだ歌である。風に散る桜を惜しむ一般の歌に対し、松に守られて散らない桜を喜ぶ趣向である。

 初句「春ごとに」は春が来るたびにの意である。
 二句「松の緑に」は常緑の松の葉の色で、桜の花の色と対比されている。
 三句「埋もれて」は覆い隠されての意である。
 四句「風に知られぬ」は風に気づかれないの意で、風を擬人化している。
 結句「花桜かな」は桜の花であることよの意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。次歌の第三十八首も松と桜を取り合わせており、対をなしている。

はなざくら:桜の花
出典
金葉和歌集
前の歌
白雲と遠の高嶺に見えつるは 心まどはす桜なりけり
次の歌
この春はのどかににほへ桜花 枝さしかはす松のしるしに