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鏡山うつろふ花を見てしより
面影にのみたたぬ日ぞなき

歌の意味
鏡山で、鏡に映るように移ろいゆく花を見てからというもの、その面影ばかりが目に浮かばない日はない。
鑑賞
巻第一 春歌 45

 鏡山で散りかけの花を見て以来、その姿が面影として毎日のように浮かぶと詠む歌である。山の名の「鏡」から、映る、面影の語を導き出した技巧的な歌である。
 作者の「仲正」は、源頼綱の子で源頼政の父にあたる源仲正である。武士でありながら歌人として知られた。

 初句「鏡山」は近江国の歌枕で、山の名から鏡を連想させる。
 二句「うつろふ花を」の「うつろふ」は花が色あせて散りかかる意と、鏡に映る意とを掛けた掛詞で、鏡の縁語である。
 三句「見てしより」は見てからというものの意である。
 四句「面影にのみ」の「面影」は目に浮かぶ姿で、これも鏡の縁語である。
 結句「たたぬ日ぞなき」は面影に立たない日はないの意で、二重否定によって毎日浮かぶことを強調している。

うつろふ:花が色あせ散りかかる意と、鏡に映る意を掛ける
かがみやま:近江国の歌枕
おもかげ:目の前にないものが心に浮かぶ姿
作者
源仲正
出典
金葉和歌集
前の歌
今日暮れぬ明日も来て見む桜花 心して吹け春の山風
次の歌
峰つづきにほふ桜をしるべにて 知らぬ山路にかかりぬるかな