- 歌の意味
- 山桜が咲き始めてからというもの、はるかな空のあたりに滝の白い糸が見えることだ。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌 50
山の高みに咲く桜が、空から流れ落ちる滝の白い糸のように見えると詠む歌である。桜を滝に見立てる趣向は本巻の第四十三首とも通じるが、空から垂れる白糸という鮮やかな見立てに新しさが見える。
作者の「俊頼」は、源経信の子の源俊頼である。白河院の命により本集金葉和歌集を撰んだ。革新的な歌風で知られる。
初句「山桜」と主題を示す。
二句「咲きそめしより」は咲き始めてからの意である。
三句「久方の」は「雲居」など天空にかかわる語にかかる枕詞である。
四句「雲居に見ゆる」の「雲居」は空、雲のあるあたりで、桜の咲く高みをいう。
結句「滝の白糸」は滝の水の流れを白い糸に見立てた表現で、体言止めで結ぶ。桜を滝と見て、さらに滝を糸と見る二重の見立てとなっている。
くもゐ:空、雲のあるあたり
しらいと:白い糸。滝の流れの見立て
- 作者
- 源俊頼
- 出典
- 金葉和歌集
- 前の歌
- 散りつもる庭をぞ見まし桜花 風より先に尋ねざりせば
- 次の歌
- 初瀬山雲居に花の咲きぬれば 天の川波立つかとぞ見る