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吉野山峰に波寄る白雲と
見ゆるは花のこずゑなりけり

歌の意味
吉野山の峰に波のように寄せる白雲と見えるのは、桜の花の梢であった。
鑑賞
巻第一 春歌 52

 吉野山の峰に波のように寄せる白雲と見えたのは、実は桜の梢であったと詠む歌である。前歌の天の川波の見立てを受け、白雲と波とを重ねて桜を描いている。

 初句「吉野山」は本巻の第二十九首、第四十七首にも詠まれた桜の名所である。
 二句「峰に波寄る」は峰に波が寄せるようにの意で、雲の動きを波にたとえている。前歌の「天の川波」と波の語で連なっている。
 三句「白雲と」は桜を白雲に見立てる表現で、第三十六首などと同じ趣向である。
 四句「見ゆるは花の」と、見立ての種明かしに入る。
 結句「こずゑなりけり」は梢であったよの意で、気づきの詠嘆を表す。

なみよる:波が寄せる
出典
金葉和歌集
前の歌
初瀬山雲居に花の咲きぬれば 天の川波立つかとぞ見る
次の歌
春ごとにあかぬにほひを桜花 いかなる風の惜しまざるらむ