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春雨に濡れて尋ねむ山桜
雲のかへしの嵐もぞ吹く

歌の意味
春雨に濡れてでも山桜を訪ねよう。雨雲を吹き返す嵐が吹いて、花を散らすと困るから。
鑑賞
巻第一 春歌 55

 春雨が止むのを待っていては、雨雲を吹き払う嵐が花を散らしてしまうかもしれないので、濡れてでも今のうちに山桜を訪ねようと詠む歌である。雨上がりの風を案じる細やかな心づかいが見られる。
 作者の「頼宗」は、藤原道長の子で右大臣に至った藤原頼宗である。堀河右大臣と呼ばれた。

 初句「春雨に」は春に降る細かな雨である。
 二句「濡れて尋ねむ」は濡れてでも訪ねようの意で、「む」は意志の助動詞である。
 三句「山桜」は訪ねる対象で、ここで句切れとなる三句切れである。
 四句「雲のかへしの」は雨雲を吹き返す風の意である。
 結句「嵐もぞ吹く」の「もぞ」は、〜すると困るという危惧を表す。

くものかへし:雲を吹き返す風
あらし:激しく吹く風
作者
藤原頼宗
出典
金葉和歌集
前の歌
よそにては惜しみに来つる花なれど 折らではえこそ帰るまじけれ
次の歌
月影に花見る夜半の浮雲は 風のつらさにおとらざりけり