- 歌の意味
- 花を誘い散らす嵐が峰を吹き渡っているのだろうか。桜の花びらが並んで波のように寄せてくる谷川の水よ。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 57
谷川の水面に桜の花びらが波のように寄せてくるのを見て、峰では嵐が花を散らしているのだろうと推量した歌である。目の前の谷川の景から、見えない峰の様子を思いやっている。
初句「花さそふ」は花を誘って散らすの意で、嵐を擬人化している。
二句「嵐や峰を」の「や」は疑問の係助詞で、三句の「らむ」と呼応する。
三句「わたるらむ」は吹き渡っているのだろうの意で、ここで句切れとなる三句切れである。
四句「桜なみよる」の「なみよる」は花びらが並び寄る意と、波が寄せる意とを掛けた掛詞である。
結句「谷川の水」と体言止めで結び、峰から谷へと視線を下ろしている。
なみよる:並び寄る意と、波が寄せる意を掛ける
さそふ:誘い出す、連れ去る
- 出典
- 金葉和歌集
- 前の歌
- 月影に花見る夜半の浮雲は 風のつらさにおとらざりけり
- 次の歌
- 今朝見れば夜半の嵐に散りはてて 庭こそ花の盛りなりけれ