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水の面に散りつむ花を見る時ぞ
はじめて風はうれしかりける

歌の意味
水面に散り積もった花を見る時にこそ、はじめて風はうれしいものだと思ったことだ。
鑑賞
巻第一 春歌 63

 花を散らす風はいつも恨めしいものであったが、水面に花びらが散り積もった美しい光景を見て、はじめて風をうれしく思ったと詠む歌である。風を恨む多くの歌に対して、逆の心を述べた趣向である。

 初句「水の面に」の「水の面」は水面の意である。
 二句「散りつむ花を」は散って積もるの意で、本巻の第四十九首の「散りつもる」に近い表現である。
 三句「見る時ぞ」の「ぞ」は係助詞で、結句の連体形「ける」と係り結びをなす。
 四句「はじめて風は」と、これまで恨んできた風への見方が変わったことを示す。
 結句「うれしかりける」はうれしかったことだの意で、本巻の第六十一首などの風を恨む歌と対照をなしている。

みづのおも:水面
ちりつむ:散って積もる
出典
金葉和歌集
前の歌
水上に花や散るらむ山川の ゐくひにいとどかかる白波
次の歌
散りかかるけしきは雪の心地して 花には袖の濡れぬなりけり