あら小田に細谷川をまかすれば
引くしめ縄にもりつつぞ行く
- 歌の意味
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荒れた田に細い谷川の水を引き入れると、水は田に張りわたした標縄に沿って漏れ流れてゆく。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 73
春の田起こしに先立って、荒れた田に谷川の水を引き入れる農作業の様子を詠んだ歌である。田に張った標縄に沿って水が漏れ流れてゆく細かな景をとらえ、田園の情景を題材とした金葉和歌集らしい歌である。本首から田と苗代の歌が続く。
作者の「経信」は、源道方の子で大納言に至った源経信である。桂大納言と呼ばれた。晩年は大宰権帥として任地で没した。撰者源俊頼の父である。
初句「あら小田に」の「あら小田」は耕していない荒れた田である。
二句「細谷川を」は細い谷川で、本巻の第四首にも詠まれている。
三句「まかすれば」は水を引き入れるとの意である。
四句「引くしめ縄に」の「しめ縄」は田の区域を示したり、立ち入りを禁じたりするために張る縄である。
結句「もりつつぞ行く」は漏れながら流れてゆくの意で、係助詞「ぞ」と連体形「行く」の係り結びである。
あらをだ:荒れた田、まだ耕していない田
まかす:水を田に引き入れる
しめなは:区域を示すために張る縄
- 作者
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源経信
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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東路のかほやが沼のかきつばた 春をこめても咲きにけるかな
- 次の歌
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鴫のゐる野沢の小田をうち返し 種まきてけりしめはへて見ゆ