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山吹に吹きくる風も心あらば
八重ながらをば散らさざらなむ

歌の意味
山吹に吹いてくる風も、もし心があるならば、八重に咲いたままの姿で散らさずにいてほしい。
鑑賞
巻第一 春歌 79

 八重咲きの山吹を散らさないでほしいと、心があるならばと風に願う歌である。山吹の一連の結びとして、花を損なうものへの禁止や願いを重ねてきた流れを受けている。

 初句「山吹に」は山吹の花にの意である。
 二句「吹きくる風も」は本巻の第二十四首と同じ表現で、ここでは花を散らすものとして置かれている。
 三句「心あらば」はもし心があるならばの意の仮定である。
 四句「八重ながらをば」は八重に咲いたままの意である。
 結句「散らさざらなむ」は散らさないでほしいの意で、「なむ」は他に対する願望の終助詞である。

やへ:花びらが幾重にも重なって咲くこと
出典
金葉和歌集
前の歌
春深み神なび川に影見えて うつろひにけり山吹の花
次の歌
入日さすゆふくれなゐの色はえて 山下照らす岩つつじかな