古典和歌stream

入日さすゆふくれなゐの色はえて
山下照らす岩つつじかな

歌の意味
夕日が差して、夕暮れの紅の色に照り映え、山の麓を明るく照らしている岩つつじであることよ。
鑑賞
巻第一 春歌 80

 夕日に照らされていっそう紅く照り映える岩つつじが、山の麓を明るく照らしているさまを詠んだ歌である。夕日の紅とつつじの紅とを重ね、色彩豊かな晩春の景を描いている。

 初句「入日さす」は沈む夕日が差すの意である。
 二句「ゆふくれなゐの」の「ゆふくれなゐ」は夕暮れの意と紅の意とを掛けた掛詞で、夕日の色とつつじの色とを重ねている。
 三句「色はえて」は色が照り映えての意である。
 四句「山下照らす」は山の麓を明るく照らすの意で、花の明るさを光にたとえている。
 結句「岩つつじかな」の「岩つつじ」は岩の間に咲くつつじで、詠嘆の「かな」で結ぶ。

ゆふくれなゐ:夕暮れの意と、紅色の意を掛ける
いはつつじ:岩の間に生えるつつじ
はゆ:照り映える
出典
金葉和歌集
前の歌
山吹に吹きくる風も心あらば 八重ながらをば散らさざらなむ
次の歌
色かへぬ松によそへて東路の 常磐の橋にかかる藤波