古典和歌stream

色かへぬ松によそへて東路の
常磐の橋にかかる藤波

歌の意味
色を変えない松になぞらえて、東国の常磐の橋に掛かっている藤の花房であることよ。
鑑賞
巻第一 春歌 81

 色を変えない松にちなむかのように、名に「常磐」を持つ東国の橋に藤の花が掛かっているさまを詠んだ歌である。常緑の松、常磐の橋という不変の象徴に、藤の花を取り合わせている。本首から藤の歌が続く。

 初句「色かへぬ」は色を変えないの意で、常緑の松の性質をいう。
 二句「松によそへて」は松になぞらえての意で、藤が松に掛かるという通例を踏まえている。
 三句「東路の」は東国のの意で、本巻の第七十二首と同じ語である。
 四句「常磐の橋に」の「常磐の橋」は東国の歌枕とされる橋で、「常磐」の名が初句の「色かへぬ」と響き合う。
 結句「かかる藤波」の「藤波」は藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語で、体言止めで結ぶ。

ふぢなみ:藤の花房が波のように揺れるさま、また藤の花
よそふ:なぞらえる
出典
金葉和歌集
前の歌
入日さすゆふくれなゐの色はえて 山下照らす岩つつじかな
次の歌
紫の色のゆかりに藤の花 かかれる松もむつましきかな