紫の色のゆかりに藤の花
かかれる松もむつましきかな
- 歌の意味
-
紫の色のゆかりで、藤の花が掛かっている松までも親しく思われることだ。
- 鑑賞
-
巻第一 春歌 82
紫色を愛する心から、紫の藤の花が掛かっている松までも親しく思われると詠む歌である。古今和歌集の「紫のひともとゆゑに武蔵野の草はみながらあはれとぞ見る」を踏まえ、紫のゆかりで愛着が広がる心を、藤と松に移している。
作者の「顕輔」は、藤原顕季の子で左京大夫に至った藤原顕輔である。崇徳院の命により詞花和歌集を撰んだ六条藤家の歌人である。
初句「紫の」は藤の花の色である。
二句「色のゆかりに」の「ゆかり」は色のつながり、縁の意で、紫の色にちなむことをいう。
三句「藤の花」と主題を示す。
四句「かかれる松も」は藤の掛かっている松もの意で、前歌の第八十一首と同じく松と藤とを取り合わせている。
結句「むつましきかな」は親しく思われることだの意で、詠嘆の「かな」で結ぶ。
ゆかり:つながり、縁
むつまし:親しい、慕わしい
- 作者
-
藤原顕輔
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
色かへぬ松によそへて東路の 常磐の橋にかかる藤波
- 次の歌
-
来る人もなきわが宿の藤の花 たれをまつとて咲きかかるらむ