- 歌の意味
- 訪ねて来る人もいないわが家の藤の花は、誰を待つというので松に咲きかかっているのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 83
人の訪れもない自分の家に咲く藤を見て、誰を待つつもりで咲きかかっているのかと問いかけた歌である。藤が松に掛かることを、人を「待つ」ことに掛け、訪れのない寂しさを込めている。
初句「来る人も」は訪ねて来る人もの意である。
二句「なきわが宿の」は誰も来ない自分の家で、寂しい住まいを示す。
三句「藤の花」と主題を示し、藤の歌の一連を継いでいる。
四句「たれをまつとて」の「まつ」は人を待つ意と、藤の掛かる松とを掛けた掛詞である。前歌の第八十二首まで詠まれてきた松を、待つの意に転じている。
結句「咲きかかるらむ」は咲いて掛かっているのだろうの意で、原因を推量している。
まつ:人を待つ意と、植物の松を掛ける
さきかかる:咲いて垂れ掛かる
- 出典
- 金葉和歌集
- 前の歌
- 紫の色のゆかりに藤の花 かかれる松もむつましきかな
- 次の歌
- 松風の音せざりせば藤波を 何にかかれる花と知らまし