古典和歌stream

蘆垣の外とは見れど藤の花
にほひは我をへだてざりけり

歌の意味
蘆垣の外にあると見えるけれども、藤の花の美しさは、私を隔てることはなかった。
鑑賞
巻第一 春歌 88

 蘆垣で隔てられた向こうに咲く藤の花であっても、その美しさは垣を越えて自分にまで届くと詠む歌である。隔てられた花への思いを、隔てられない美しさによって慰めている。

 初句「蘆垣の」の「蘆垣」は蘆を編んで作った垣で、隔てを象徴する。
 二句「外とは見れど」は垣の外にあると見るけれどもの意である。
 三句「藤の花」と主題を示し、藤の歌の一連を閉じている。
 四句「にほひは我を」の「にほひ」は藤の花の照り映える美しさ、また香りである。
 結句「へだてざりけり」は隔てなかったのだの意で、初句の「蘆垣」の隔てと対照をなしている。

あしがき:蘆を編んで作った垣
出典
金葉和歌集
前の歌
濡るるさへうれしかりけり春雨に 色ます藤のしづくと思へば
次の歌
春のゆく道にきむかへほととぎす かたらふ声に立ちやとまると