春のゆく道にきむかへほととぎす
かたらふ声に立ちやとまると
- 歌の意味
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春が去ってゆく道に来て迎えておくれ、ほととぎすよ。お前の語りかける声に、春が立ち止まるかもしれないから。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 89
去ってゆく春を引き止めるために、夏の鳥であるほととぎすに、春の行く道に来て語りかけてほしいと願う歌である。夏の訪れを告げる鳥を、春を惜しむために呼び寄せるという逆説的な発想である。本首から暮春の歌が続く。
初句「春のゆく」は春が去ってゆくの意で、春を旅人のように擬人化している。
二句「道にきむかへ」の「きむかへ」は来て迎えよの意の命令で、ここで句切れとなる二句切れである。
三句「ほととぎす」は夏の訪れを告げる鳥で、ここでは呼びかけである。
四句「かたらふ声に」の「かたらふ」は親しく語りかけるの意で、ほととぎすの鳴き声を語らいにたとえている。
結句「立ちやとまると」は春が立ち止まるかと思っての意で、上の句の命令の理由を倒置で示している。
かたらふ:親しく語り合う
きむかふ:来て迎える
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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蘆垣の外とは見れど藤の花 にほひは我をへだてざりけり
- 次の歌
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残りなく暮れゆく春を惜しむとて 心をさへもつくしつるかな