思ひやれめぐりあふべき春だにも
立ち別るるは悲しかりけり
- 歌の意味
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察してほしい。また巡り会えるはずの春でさえ、別れてゆくのは悲しいのだから。
- 鑑賞
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巻第一 春歌 93
来年になればまた巡ってくる春でさえ、別れるのはこれほど悲しいのだから、その思いを察してほしいと詠む歌である。暮春の歌でありながら、再び会えるかわからない別れの悲しさを思わせる余情がある。
本歌は巻一の巻末に置かれており、巻頭の第一首が「春は来にけり」と春の訪れを詠むのに対し、春との別れを詠んで巻を閉じている。
作者の「顕輔」は、藤原顕季の子で左京大夫に至った藤原顕輔である。崇徳院の命により詞花和歌集を撰んだ六条藤家の歌人である。
初句「思ひやれ」は察してくれの意の命令で、初句切れである。
二句「めぐりあふべき」は再び巡り会えるはずのの意で、春が毎年巡ってくることをいう。
三句「春だにも」の「だに」は程度の軽いものを挙げて重いものを類推させる副助詞で、春でさえの意となる。
四句「立ち別るるは」は春と別れることで、「立つ」は春が立つの語を響かせている。
結句「悲しかりけり」は悲しいことだの意である。巻頭の第一首の「来にけり」と同じく「けり」で結び、春の始まりと終わりとが呼応している。
めぐりあふ:巡り巡って再び会う
たちわかる:別れて去る
- 作者
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藤原顕輔
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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帰る春卯月の忌にさしこめて しばしみあれのほどまでも見む
- 次の歌
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我のみぞ急ぎたたれぬ夏衣 ひとへに春を惜しむ身なれば