おしなべて梢青葉になりぬれば
松の緑もわかれざりけり
- 歌の意味
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あたり一面、木々の梢がみな青葉になってしまったので、常緑の松の緑も見分けがつかなくなったことだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 96
夏になって木々の梢が一様に青葉となったため、ふだんは際立って見える松の緑も、ほかの木と区別がつかなくなったと詠む歌である。新緑に包まれた夏山の景を、松という一点から大きくとらえている。
冬の寒さの中でこそ松の常緑が際立つという、論語に見える松柏の考え方を裏返し、すべてが緑となる夏には松も目立たないとした点に趣向がある。
作者の「白河院」は第七十二代の白河天皇である。後三条天皇の第一皇子で、譲位の後も上皇として院政を行い、源俊頼に本集の撰進を命じた。
初句「おしなべて」はすべて一様にの意で、見渡すかぎりの木々をとらえる。
二句「梢青葉に」は木の枝先がすべて青葉になることで、前歌の第九十五首の「青葉まじり」から一歩進んだ季節の景である。
三句「なりぬれば」は完了の助動詞「ぬ」の已然形に「ば」が付いた確定条件で、すっかりなってしまったのでの意となる。
四句「松の緑も」は常緑の松の色で、ふだんは他の木と区別される松をあえて取り上げている。
結句「わかれざりけり」は見分けがつかなかったことだの意で、詠嘆の「けり」で結ぶ。「わく」は区別する意で、本巻の第九十九首の「わきて折らまし」にも同じ語が用いられている。
こずゑ:木の枝の先
わく:区別する、見分ける
- 作者
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白河院
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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夏山の青葉まじりの遅桜 初花よりもめづらしきかな
- 次の歌
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玉柏庭も葉広になりにけり こや木綿しでて神祭る頃