年ごとに聞くとはすれどほととぎす
声は古りせぬものにぞありける
- 歌の意味
-
毎年聞いてはいるけれど、ほととぎすの声は古びることのないものであったことだ。
- 鑑賞
-
巻第二 夏歌 109
毎年聞いているにもかかわらず、ほととぎすの声はいつまでも古びることがない、と詠む歌である。年ごとに巡ってくる声を、いつも新しいものとして迎える心を表している。
本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。
初句「年ごとに」は毎年の意で、長い年月を通してほととぎすを聞いてきたことを示す。本巻の第百十三首の「聞くたびに」が一回ごとの新鮮さを詠むのに対し、本歌は年ごとの尺度で同じ思いを詠んでいる。
二句「聞くとはすれど」は聞いてはいるけれどもの意の逆接である。
三句「ほととぎす」は主題の鳥で、下の句の「声」へとつながる。
四句「声は古りせぬ」は声は古くならないの意で、「古りす」は古くなる意である。
結句「ものにぞありける」は係助詞「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びで、気づきの詠嘆を表す。字余りの句である。本巻の第百六首と同じ結句である。
ふりす:古くなる
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
ほととぎすおとはの山の麓まで 尋ねし声を今宵聞くかな
- 次の歌
-
恋すてふ無き名や立たむほととぎす 待つに寝ぬ夜の数し積もれば