ほととぎす飽かで過ぎぬる声により
跡なき空を眺めつるかな
- 歌の意味
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ほととぎすが、聞き飽きないうちに過ぎ去ってしまったその声のために、跡形もない空をぼんやりと眺めてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 112
まだ聞き足りないうちにほととぎすが鳴き過ぎてしまったので、その声の名残を惜しんで、何の跡も残らない空をただ眺めていた、と詠む歌である。声が去った後の空虚さと、名残惜しさが表されている。
本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。
初句「ほととぎす」と主題を示して詠み起こす。
二句「飽かで過ぎぬる」の「で」は打消の接続助詞で、満足しないうちに過ぎてしまったの意となる。
三句「声により」は声のためにの意で、下の句の行為の理由を示す。
四句「跡なき空を」は跡形もない空で、鳥の声が消えた後の空虚さを表す。前歌の第百十一首の「心も空に」と「空」の語でつながっている。
結句「眺めつるかな」の「眺む」は物思いにふけりながらぼんやり見やる意で、「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形、「かな」は詠嘆である。
ながむ:物思いにふけりながらぼんやり見やる
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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ほととぎす心も空にあくがれて 夜離れがちなるみ山辺の里
- 次の歌
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聞くたびにめづらしければほととぎす いつも初音の心地こそすれ