待ちかねて尋ねざりせばほととぎす
誰とか山のかひに鳴かまし
- 歌の意味
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待ちきれずに私が山まで訪ねてこなかったならば、ほととぎすは誰を相手に、山の峡で、かいもなく鳴いたことだろうか。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 114
待ちきれずに山まで訪ねてきた自分がいなかったなら、ほととぎすは誰に聞かせるともなく、山あいでかいもなく鳴いただろう、と詠む歌である。待ちかねて探しに来た自分こそが、ほととぎすの声の聞き手であるという自負をこめている。
本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。
作者の「俊頼」は、源経信の子の源俊頼である。白河院の命により本集金葉和歌集を撰んだ。革新的な歌風で知られる。
初句「待ちかねて」は待ちきれずにの意で、ほととぎすを待つ心の強さを示す。
二句「尋ねざりせば」の「せば」は過去の助動詞「き」の未然形に「ば」が付いた仮定で、結句の「まし」と呼応する反実仮想である。次歌の第百十五首も同じ「せば…まし」の反実仮想で詠まれており、二首は対をなしている。
三句「ほととぎす」は呼びかけの形で置かれている。
四句「誰とか山の」は誰を相手にの意で、係助詞「か」が結句の「まし」と係り結びをなす。
結句「かひに鳴かまし」の「かひ」は山と山の間の狭い所を指す「峡」と、効果の意の「甲斐」とを掛けた掛詞である。山の峡でかいもなく鳴いただろうの意となる。
かひ:山と山の間の狭い所の「峡」と、効果の意の「甲斐」を掛ける
- 作者
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源俊頼
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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聞くたびにめづらしければほととぎす いつも初音の心地こそすれ
- 次の歌
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驚かす声なかりせばほととぎす まだうつつには聞かずぞあらまし