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ほととぎすほのめく声をいづかたと
聞きまどはしつ曙の空

歌の意味
ほととぎすのかすかに聞こえた声を、どの方角からかと聞き迷ってしまった、明け方の空よ。
鑑賞
巻第二 夏歌 118

 夜明けの空にほととぎすのかすかな声が聞こえたが、どの方角から聞こえたのかわからず迷ってしまった、と詠む歌である。一声だけかすかに聞こえて消えたほととぎすの声のはかなさと、明け方の空の広がりが感じられる。
 本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。

 初句「ほととぎす」と主題を示して詠み起こす。
 二句「ほのめく声を」の「ほのめく」はかすかに聞こえる意である。本巻の第百二十三首の「ほのかにも」と同じく、ほととぎすの声のかすかさを詠んでいる。
 三句「いづかたと」はどの方角とかの意である。
 四句「聞きまどはしつ」は聞き迷ってしまったの意で、「つ」は完了の助動詞である。ここで句切れとなる四句切れの歌である。
 結句「曙の空」は夜明けの空で、体言止めで余情を残している。

ほのめく:かすかに聞こえる、ほのかに現れる
ききまどはす:聞いて迷う、聞き分けられずに迷う
出典
金葉和歌集
前の歌
待つ人の宿をば知らでほととぎす 遠の山辺を鳴きて過ぐなり
次の歌
宿近くしばし語らへほととぎす 待つ夜の数の積もるしるしに