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ほととぎす稀に鳴く夜は山彦の
答ふるさへぞうれしかりける

歌の意味
ほととぎすがまれに鳴く夜は、山びこがその声に答えて響き返すのさえうれしいことだ。
鑑賞
巻第二 夏歌 120

 ほととぎすがめったに鳴かない夜に鳴いたときは、その声を山びこが響き返すのまでうれしい、と詠む歌である。まれな声だからこそ、その響きまでいとおしく感じる心を表している。
 本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。

 初句「ほととぎす」と主題を示して詠み起こす。
 二句「稀に鳴く夜は」はめったに鳴かない夜はの意で、声の貴重さを示している。
 三句「山彦の」は山や谷に声が反響することで、ほととぎすの声が繰り返されることを表す。
 四句「答ふるさへぞ」の「さへ」は添加の副助詞で、山びこが答えることまでもの意となる。係助詞「ぞ」が結句の連体形「ける」と係り結びをなす。
 結句「うれしかりける」はうれしいことだの意である。本巻の第百七首の「言の葉さへぞうれしかりける」と同じ結句で、声そのものではなく、それにまつわるものさえうれしいという趣向が共通している。

やまびこ:山や谷に声が反響すること
こたふ:答える。ここでは声が響き返す
出典
金葉和歌集
前の歌
宿近くしばし語らへほととぎす 待つ夜の数の積もるしるしに
次の歌
山近く浦漕ぐ舟はほととぎす 鳴くわたりこそ泊りなりけれ