山近く浦漕ぐ舟はほととぎす
鳴くわたりこそ泊りなりけれ
- 歌の意味
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山の近くの入り江を漕ぐ舟にとっては、ほととぎすが鳴くあたりこそが停泊する所であることだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 121
山に近い入り江を漕いでいく舟は、ほととぎすの鳴くあたりでこそ舟を泊めるのだ、と詠む歌である。舟旅の人もほととぎすの声に引かれて舟を止めるという、ほととぎすを慕う心を水辺の景で描いている。
次歌の第百二十二首も舟とほととぎすを詠み、声のするあたりに泊まる本歌に対し、次歌は聞き終わらぬうちに漕ぎ別れる心を詠んで対をなしている。
本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。
初句「山近く」は山の近くの意で、ほととぎすの鳴く山辺の水辺であることを示す。
二句「浦漕ぐ舟は」の「浦」は入り江で、そこを漕ぎ進む舟を主題としている。
三句「ほととぎす」は四句へ続き、ほととぎすの鳴くの意となる。
四句「鳴くわたりこそ」の「わたり」はあたり、付近の意で、係助詞「こそ」が結句の已然形「けれ」と係り結びをなす。
結句「泊りなりけれ」の「泊り」は舟を泊める所で、ほととぎすの鳴くところこそ停泊地であったと詠嘆している。
うら:入り江
わたり:あたり、付近
とまり:舟を泊める所、港
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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ほととぎす稀に鳴く夜は山彦の 答ふるさへぞうれしかりける
- 次の歌
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聞きもあへず漕ぎぞ別るるほととぎす 我が心なる船出ならねば