聞きもあへず漕ぎぞ別るるほととぎす
我が心なる船出ならねば
- 歌の意味
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ほととぎすの声を十分に聞き終えることもできず、漕ぎ別れていくことだ。自分の思いどおりになる船出ではないので。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 122
ほととぎすの声を聞き終えないうちに、舟を漕ぎ出して別れなければならない、自分の思いどおりになる船出ではないのだから、と嘆く歌である。旅の定めに従わねばならない身の、ほととぎすへの心残りを表している。
前歌の第百二十一首がほととぎすの鳴くあたりこそ泊りだと詠むのに対し、本歌はその声を残して漕ぎ別れる心を詠んで対をなしている。
本巻の第百四首から第百二十六首まではほととぎすの歌が続く。初音を待ち、尋ね、聞き得た喜びや聞き逃した嘆きなど、ほととぎすをめぐるさまざまな心が詠まれていく。
初句「聞きもあへず」の「あふ」は最後まで~しきる意で、聞き終えることもできずにの意である。字余りの句である。
二句「漕ぎぞ別るる」は係助詞「ぞ」を受けて連体形「別るる」で結ぶ係り結びで、漕ぎ別れていくことを強調する。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「ほととぎす」は別れていく相手であり、呼びかけの形で置かれている。
四句「我が心なる」は自分の思いどおりになるの意である。
結句「船出ならねば」は船出ではないのでの意で、打消の「ず」の已然形「ね」に「ば」が付いた確定条件である。思いどおりにならない旅の事情を示している。
ききあふ:最後まで聞き終える
ふなで:舟が港を出ること
- 出典
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金葉和歌集
- 前の歌
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山近く浦漕ぐ舟はほととぎす 鳴くわたりこそ泊りなりけれ
- 次の歌
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ほととぎす雲の絶え間にもる月の 影ほのかにも鳴きわたるかな