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あやめ草ねたくも君が訪はぬかな
今日は心にかかれと思ふに

歌の意味
恨めしいことに、あなたは訪ねてこないことだ。端午の今日は、軒にかける菖蒲のように、私の心にかかって思い出してほしいと思っているのに。
鑑賞
巻第二 夏歌 127

 端午の節句の今日、あやめ草を軒にかけるように、あなたも私を心にかけてほしいと思うのに、恨めしいことに訪ねてこない、と詠む歌である。あやめ草の縁語を巧みに用いて、訪れない人への恨みを詠んでいる。
 本巻の第百二十七首から第百三十四首までは、五月五日の端午の節句に軒に葺いたり、根の長さを競ったりしたあやめ草の歌が続く。

 初句「あやめ草」は端午の節句に用いる菖蒲で、二句の「ね」を導いている。
 二句「ねたくも君が」の「ね」は、あやめ草の「根」と、恨めしい意の「ねたし」の「ね」とを掛けた掛詞である。
 三句「訪はぬかな」は訪ねてこないことだの意で、終助詞「かな」で詠嘆する。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
 四句「今日は心に」の「今日」は五月五日の端午の節句を指す。
 結句「かかれと思ふに」の「かかる」は、菖蒲を軒に掛ける意と、心に掛かる意とを掛けた掛詞である。「根」「かかる」はあやめ草の縁語となっている。

ね:菖蒲の「根」と、恨めしい意の「ねたし」の「ね」を掛ける
かく:菖蒲を軒に掛ける意と、心に掛けて思う意を掛ける
とふ:訪ねる
出典
金葉和歌集
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ほととぎす雲路にまどふ声すなり 小止みだにせよ五月雨の空
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万代に変はらぬものは五月雨の 雫にかをるあやめなりけり