万代に変はらぬものは五月雨の
雫にかをるあやめなりけり
- 歌の意味
-
いつまでも変わらないものは、五月雨の雫に濡れて香るあやめであることだ。
- 鑑賞
-
巻第二 夏歌 128
いつの世までも変わらないものは、五月雨の雫に濡れて香るあやめである、と詠む歌である。毎年五月に変わらず香るあやめに、永遠に続くものを見出し、祝いの心をこめている。
本巻の第百二十七首から第百三十四首までは、五月五日の端午の節句に軒に葺いたり、根の長さを競ったりしたあやめ草の歌が続く。
作者の「経信」は、源道方の子で大納言に至った源経信である。桂大納言と呼ばれた。晩年は大宰権帥として任地で没した。撰者源俊頼の父である。
初句「万代に」は限りなく長い年月にの意で、永遠性を示している。
二句「変はらぬものは」は変わらないものはの意で、主題を示し、結句で答えを示す構成である。
三句「五月雨の」は陰暦五月ごろに降り続く長雨である。
四句「雫にかをる」は雨の雫に濡れて香るの意で、五月雨とあやめの香りを結びつけている。
結句「あやめなりけり」は、あやめであったことだの意で、詠嘆の「けり」で結ぶ。
よろづよ:限りなく長い年月
さみだれ:陰暦五月ごろに降り続く長雨
- 作者
-
源経信
- 出典
-
金葉和歌集
- 前の歌
-
あやめ草ねたくも君が訪はぬかな 今日は心にかかれと思ふに
- 次の歌
-
あやめ草引く手もたゆく長き根の いかであさかの沼に生ひけむ